ブロンズギャラリー 中国青銅器の時代
ギャラリー3特集展示「金文の世界」
複雑繊細な造形が特徴の殷周青銅器には、当時の人々の使用していた文字が銘文として鋳込まれていることがあります。この中国古代の文字─金文─は、現在のわたしたちが使用している漢字の古い字形であり、当時の社会や文化のあり方を考えるうえで貴重な手がかりとなっています。書かれた内容を丹念に読み込むと、中国古代の人々の息遣いが聞こえてきそうなリアリティを味わうことができます。また文字としての美しさもきわだっており、歴代の書家たちを魅了し、影響を与えてきました。今秋のブロンズギャラリーではこの金文をテーマとし、住友コレクションとともに、その豊かな世界をさぐる特集展示を開催します。青銅器や中国古代に興味がある方はもちろん、書や古代文字に興味がある方にも必見の内容です。
特別展 没後100年記念 住友春翠
-仕合せの住友近代美術コレクション
作品が収蔵されるとき、その一つひとつにはそれぞれの物語があります。それは「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」手に入れたのか―住友コレクションは、中国古代青銅器をはじめ、中国・日本書画、西洋絵画、近代陶磁器、茶道具、文房具、さらには能面・能装束など幅広い領域にわたりますが、その多くは、現在の住友グループの礎を築いた住友家第15代当主・住友吉左衞門友純(ともいと)(号 : 春翠、1864~1926)によって明治中頃から大正時代にかけて買い求められたものです。 須磨別邸に訪れた洋画家・小杉未醒(みせい)は、春翠の印象について「富豪は二重の人格を持つ、一つは富豪其人の人格、一は其の家の人格」と述べています。春翠が手に入れた作品にもまた、「家」と「私」というふたつの意識がその根底に流れています。もっとも、「家」と「私」は明確に区分できるものではなく、「家」のなかの「私」、あるいは「私」のなかの「家」があり、淡水と鹹水が混ざり合う汽水域のように、「家」と「私」とが交錯する独自の価値観のもと、このコレクションは形成されていきました。 本展は、住友春翠の没後100年を記念し、春翠が関心を寄せた近代美術を紹介するものです。同時代を生きた作り手たちとの交流を通じて、春翠が何をまなざし、何を求めたのか。本展では、春翠と作品とのめぐり合わせ(=仕合せ)を時系列順に辿りながら、その美意識を見つめなおすとともに、収集の背景や時代性といった視点からコレクション形成史を再考する機会とします。
