ブロンズギャラリー 中国青銅器の時代
1970年大阪万博の年に完成した青銅器館。ふたたび大阪で万博が開催される2025年4月、京都本館のリニューアルオープンに合わせブロンズギャラリーも展示を刷新して皆さまをお迎えします。 4室からなる展示室の構成はそのままに、モダン建築の傑作が生みだす空間を活かしつつ、中国古代の超絶技巧が発揮された青銅器の魅力にさまざまな角度から迫る展示をお楽しみください。 【住友コレクション 名品大集合】 いまから約3000年前、日本ではちょうど縄文時代が終わりにさしかかるころ、中国大陸では殷や周といった古代王朝が栄え、高度に発達した鋳造技術によって青銅器の数々がつくられていました。中国青銅器のもっとも大きな特徴は、儀礼用の容器が発達した点にあり、古代の超絶技巧によって、実用性と装飾性を兼ね備えた複雑な造形の青銅器が生み出されました。ギャラリー1は、住友コレクションの中国青銅器のなかでも選りすぐりの名品を一堂に会し、古代中国の世界へといざなうイントロダクションとなって います。 【青銅器の種類と用途】 殷周時代の青銅器は普段使いの日用品ではなく、王侯貴族たちが祖先の神々をまつるために用いた聖なる「おもてなし」の道具でした。そのため、青銅器にはかなり詳細な用途が決まっており、実際にそうした用途で使うための機能性がそなわっているのが大きな特徴となっています。ギャラリー2では、青銅器の種類と用途を大きく食器・酒器・水器・楽器に分けてご紹介し、当時の人々がどのように青銅器を使っていたのかを想像できるよう展示を工夫しています。 【文様モチーフの謎】 具体的な用途がありながら、そうした機能とは相反するような複雑怪奇な造形を見せる殷周青銅器。ギャラリー3では殷周青銅器の文様・モチーフに焦点を当て、その魅力に迫ります。祖先をまつる聖なる器である殷周青銅器には、その表面を覆い尽くすようにさまざまな文様があらわされ、なかにはトラやミミズク、ウシなどの動物モチーフも数多く登場します。そうした文様が何を意味していたのかについては多くの謎がありますが、丁寧な解説とともに、劇的な造形の背後にある当時の人々の思想や信仰の世界を探っていきます。 【東アジアへの広がり】 祭政一致の殷周時代が終わり、秦漢帝国が形成されると、祭祀儀礼に用いられた青銅製の容器の製作は衰退しますが、代わって青銅鏡が数多くつくられるようになり、日本列島を含む東アジア世 界へともたらされました。ギャラリー4では中国青銅器の影響力が東アジアへと広がる過程に注目し、日本列島でつくられた青銅器もあわせてご紹介します。
リニューアル記念名品展Ⅰ
帰ってきた泉屋博古館 いにしえの至宝たち
京都東山・鹿ヶ谷の地にて開館以来65年目を迎える2025年春、当館は1年の改修工事を経て装いを新たに再び始動します。記念の第一弾は、一貫して活動の核としてきた住友家伝来の美術品を中心に、日本、中国、朝鮮の古代から近世にいたる美術工芸の代表作を精選してご紹介します。いにしえから名高い逸品、時代とともに新たな価値が見出された優品、さらには今後注目を集める可能性を秘めた珍品。いずれも、時に気高く、時に優しく、出会う度に違った表情を見せてくれます。観る人の心に寄り添う不朽の住友コレクション、その奥深さに再び出会うまたとない機会です。 ○帰ってきた!1年の改修休館を経て公開活動を再開します。一新した設備と変わらぬ京都東山の環境で皆様をお迎えします。 ○帰ってきた!改修工事のため移動していた収蔵品が無事帰還。一同揃って皆様をお迎えします。 ○帰ってきた!大阪万博の1970年に建設され、京都の戦後モダニズム建築としても注目される青銅器館。過去の改修で損なわれていた象徴空間を取り戻し、皆様をお迎えします。
リニューアル記念名品展Ⅱ
続・帰ってきた泉屋博古館
近代の美術、もうひとつの在り方
リニューアルを記念して、当館所蔵の近代美術の名品を一堂に公開いたします。近代美術を語るとき、話題として欠かせないのが、展覧会で世に華々しく発表された大作の数々です。作家が自らの芸術的信念を形にするべく技巧を尽くして挑んだ展覧会出品作は、新時代の表現を切り開いてきました。進取の精神を尊んだ住友家当主も、それに理解を示して買い集めています。しかし、それだけが住友の近代美術の特色ではありません。むしろ、そうではない別の在り様を示す作品も集めたことこそ、大きな魅力になっています。たとえば、来客をもてなしたり、ハレの日を彩ったり、使用する場面をイメージしながら注文された作品。住友家当主の美意識に応える作家たちの静かな挑戦に、見る者の心は揺れます。あるいは同じ趣味を持った仲間との交流のなかで生み出された作品。とくに住友コレクションでは、江戸時代から続く文人趣味の土壌に育まれた作品が目立ち、作品からは同好の士が通じ合ったときの居心地の良い空気が漂います。こうした多彩な魅力を持ち合わせるコレクションから、何度でもみなさまにご覧いただきたい作品、今このタイミングだからご紹介したい作品を選び抜いて展示いたします。
特別展 生誕151年目の鹿子木孟郞 -写実絵画の精髄-
近代の日本洋画に本格的な写実表現を移植した鹿子木孟郎(かのこぎ・たけしろう 1874~1941)の生誕150年を記念する特別展。初期の天彩学舎や不同舎で学んだ素描などから、渡仏しフランス古典派の巨匠ジャン=ポ-ル・ロ-ランスに学んだ作品、帰国後の関西美術院や下鴨家塾での活動などを作品により網羅し、生涯の画業を紹介しつつその功績を再考します。一方で鹿子木は、支援を受けた住友家15代当主・住友春翠に、師ロ-ランスの代表作のほか自作や模写、その他西洋名画を仲介しおさめました。本展はフランス古典派写実表現の系譜とその行方を、鹿子木とローランスの作品を中心に紹介します。