特別展 住友財団文化財維持・修復事業助成の成果展示
文化財よ、永遠に2026 -次代につなぐ技とひと
先人たちの文化や思想を伝える考古遺物や歴史資料、美術工芸品、それらを今日私たちが目の当たりにできるのは、これまでに多くの人々の手によって守り継がれてきたからにほかなりません。それはすなわち、目の前の文化財が次の百年へと息をつなぐことができるかどうかは今の私たちに懸かっていると言い換えることができるのでしょう。 住友財団は、1991年創立以来、人類共通の宝である文化財を後世に伝えることを現代人の責務と考え、文化財維持修復事業の助成に務めてきました。民間という立場から、我が国だけでなく海外の文化財にまで助成対象を広げて、35年間活動を重ねてきました。 本展は、住友財団の助成事業によって修理がなされ、よみがえった文化財を展示することで、文化財の保存修理を取り巻く環境と技術、そして人に光をあてようとするものです。社会の高齢化と地方の過疎、それに伴う文化財に携わる担い手の不足、逼迫する財政そして災害の激甚化と、文化財はいよいよ厳しい境遇に置かれています。何人もの人間が一つの作品のために連携して、厳選した材料を惜しみなく投入し、伝統と最新を兼ね備えた技術で最善を模索し続ける文化財修理というものが、はたして大量消費を前提としてコストパフォーマンスを重視する現代社会でどのように生き残っていけるのか。山積する課題を前に困惑して停止してしまわないためにも、文化財修理の意義と技術、さらにそこに注ぎ込まれた人々の努力を、改めてお伝えできれば幸いです。
ブロンズギャラリー 中国青銅器の時代
見れば見るほどにおもしろく、魅力が増していく──世界最高峰とも称される住友コレクションの中国青銅器は、ブロンズギャラリーにていつもみなさまをお待ちしております。古代の超絶技巧が発揮された青銅器の魅力をさまざまな角度からご紹介するブロンズギャラリーは、4つの展示室によって構成されています。今年は青銅器に鋳込まれた古代文字、金文をフィーチャーし、謎に包まれた中国古代の文字の世界にせまります。 ギャラリー01 名品大集合 住友コレクションの中国青銅器のなかでも選りすぐりの名品を一堂に会した展示室。新しくなった展示ケースによって、名品の魅力を余すことなくお見せします。また中国青銅器の基礎的な知識に関する解説を付し、その世界へと旅するためのイントロダクションをご提供いたします。 ギャラリー02 青銅器の種類と用途 さまざまある青銅器の種類とその用途をテーマとした展示室。不思議な形をしている中国青銅器に定められた、食器・酒器・水器・楽器という4種類の用途を中心に、デジタルコンテンツを応用した動画も活用しつつ、当時の使い方が伝わるような工夫を加えています。 ギャラリー03 文様・モチーフの謎 動物をかたどったかわいらしい造形から、器の表面を埋め尽くす複雑怪奇な文様なども、中国青銅器を語るうえでは外すことのできない見どころです。ここでは中国青銅器に登場する文様やモチーフを取り上げ、その謎と魅力にせまっていきます。 ギャラリー04 東アジアへの広がり 中国で誕生した青銅器文化は、その後、東アジア世界へとその影響を広げていき、各地で独特の青銅器もつくられるようになりました。ここでは東アジアに広く受容された鏡を中心として、日本を含む周辺地域の青銅器も取り上げつつ、青銅文化の展開を見ていきます。
特別展 寛永行幸四百年記念
寛永行幸 -花の都の文化人(仮)
江戸時代のはじめの寛永3年(1626)9月、徳川秀忠・家光の招きに応じ、後水尾天皇が京都・二条城に行幸しました。その初日には、二条城へむかう天皇や公家衆、奉迎する将軍率いる全国の大名らによる史上稀にみる大行列が、京のまちに繰り広げられました。その様子を描く《二条城行幸図屏風》(泉屋博古館)は、絢爛たる貴人のみならず、全国から集い着飾り浮かれ騒ぐ見物人までも活写します。本展では、泰平の世を告げ新たな文化胎動につながった寛永行幸を振り返るとともに、そののち17世紀後半にかけて展開した優美な寛永文化に注目、後水尾天皇、東福門院、小堀遠州、千宗旦、俵屋宗達、野々村仁清など、身分を越えきら星の如く輩出した文化人たちの美意識と交流を紹介します。
特別展 没後100年記念 住友春翠
-仕合わせの住友近代美術コレクション
泉屋博古館のコレクションの礎を築いた住友家第15代当主・住友吉左衞門友純(号:春翠、1864–1926)の没後100年を記念し、ゆかりの作品を紹介します。収蔵する日本画・洋画・工芸から、彼と同時代を生きた作家との交流をたどります。また春翠が関心を寄せた作品を通じてその審美眼を見つめ直し、さらに収集の背景や時代性といったコレクション形成史を再検討する機会とします。
