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PROGRAM
開催中・開催予定の展覧会
特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 -不倒の油画道-
2025.09.272025.12.14

近代の日本洋画に本格的な「写実」表現をもたらした鹿子木孟郎(かのこぎ・たけしろう、1874~1941)の生誕151年を契機として、その足跡をたどる特別展です。 鹿子木は現在の岡山市に生まれ、はじめ天彩学舎や不同舎で洋画の基礎を学び、1900年に米国経由でフランスへ留学しました。1918年まで都合3度にわたって留学したパリではフランス・アカデミスムの巨匠ジャン=ポール・ローランスの薫陶を受け、フランス古典派絵画の写実を追究しました。帰国後は、関西美術院や太平洋画会、文部省美術展覧会(文展)の中心的な画家として活躍し、日本洋画の発展に確かな足跡を残しました。 本展は、10代の初期作品からロ-ランスに学んだ渡欧作、帰国後の文展や太平洋画会、関西美術院や家塾での活動を紹介しつつ、その功績を再考します。とくに師ローランスの写実技法の伝播について再検討を行い、近代日本洋画における写実表現の展開をめぐる問題を検証します。 ◆本展のみどころ◆ 1.約四半世紀ぶりの大規模回顧展を開催、鹿子木孟郞の画業の紹介と再考 鹿子木孟郎はフランス・アカデミスムで学んだ正統的なリアリズムを日本へと伝え、その重厚かつ堅牢な油彩画が高い評価を受けた近代日本洋画の巨匠です。回顧展はこれまで2回開かれていますが、2001年に府中市美術館で開かれた展覧会以降、鹿子木の質の高い作品に触れる機会は限られてきました。本展は、約四半世紀ぶりの本格的な回顧展であり、鹿子木が活躍した京都の地で開催されるものです。 文部省美術展覧会や太平洋画会の展覧会出品作をはじめ、師ジャン=ポール・ローランスの作品、あるいは今回の調査で発見された新出作品を含む、約80点から鹿子木の画業を紹介し、彼が目指した表現について再評価することを目指します。 2.近代日本洋画における「写実」の意味 弟子の黒田重太郎が回想するように、鹿子木は「正確に物を観、それを再現すること」を最も大切にしていました。確かに鹿子木の作品には、長い時間をかけて対象と向き合い、それを正確に写し取る姿勢が通底しています。一方で鹿子木作品の魅力は、単に物のかたちを正確に捉えるだけではない、本質に迫る「写実」のあり方を示しています。 印象派以前のリアリズムを根幹とする鹿子木の絵画表現は、日本近代洋画の主流となった黒田清輝たちの外光派の表現とは一線を画します。写実表現が見直される昨今の美術界において、鹿子木の作品は一周回って新鮮な驚きと絵画の豊かさに気が付かされます。 本展では多数の不同舎時代の風景スケッチや渡欧期の裸体人物写生など、鹿子木における写実表現の形成と展開をご覧いただきます。 3.パトロン・住友 1900年(明治33)に、父を亡くした鹿子木は、不同舎の学友とともに欧米遊学へ出発しました。パリで出会った浅井忠から長期滞在を勧められた鹿子木は、住友家に支援を願い出て、2年間留学延長できる奨学金を受けています。その代わりに鹿子木は、師のジャン=ポール・ローランスを含む西洋絵画の実作を住友家にもたらし、さらにはアングルやコローといった名画の模写も収めています。その後も住友家の後援により、1906年(明治39)と1915年(大正5)の2回にわたり渡仏し、当地で本格的な絵画学習を果たしました。 本展では、近代における洋画家支援の様相、また画家とパトロンの親しい交流を紹介します。

特別展 住友財団文化財維持・修復事業助成の成果展示
文化財よ、永遠に2026 -次代につなぐ技とひと
2026.04.042026.06.28

先人たちの文化や思想を伝える考古遺物や歴史資料、美術工芸品、それらを今日私たちが目の当たりにできるのは、これまでに多くの人々の手によって守り継がれてきたからにほかなりません。それはすなわち、目の前の文化財が次の百年へと息をつなぐことができるかどうかは今の私たちに懸かっていると言い換えることができるのでしょう。 住友財団は、1991年創立以来、人類共通の宝である文化財を後世に伝えることを現代人の責務と考え、文化財維持修復事業の助成に務めてきました。民間という立場から、我が国だけでなく海外の文化財にまで助成対象を広げて、35年間活動を重ねてきました。 本展は、住友財団の助成事業によって修理がなされ、よみがえった文化財を展示することで、文化財の保存修理を取り巻く環境と技術、そして人に光をあてようとするものです。社会の高齢化と地方の過疎、それに伴う文化財に携わる担い手の不足、逼迫する財政そして災害の激甚化と、文化財はいよいよ厳しい境遇に置かれています。何人もの人間が一つの作品のために連携して、厳選した材料を惜しみなく投入し、伝統と最新を兼ね備えた技術で最善を模索し続ける文化財修理というものが、はたして大量消費を前提としてコストパフォーマンスを重視する現代社会でどのように生き残っていけるのか。山積する課題を前に困惑して停止してしまわないためにも、文化財修理の意義と技術、さらにそこに注ぎ込まれた人々の努力を、改めてお伝えできれば幸いです。

ブロンズギャラリー 中国青銅器の時代
2026.04.042026.07.31

見れば見るほどにおもしろく、魅力が増していく──世界最高峰とも称される住友コレクションの中国青銅器は、ブロンズギャラリーにていつもみなさまをお待ちしております。古代の超絶技巧が発揮された青銅器の魅力をさまざまな角度からご紹介するブロンズギャラリーは、4つの展示室によって構成されています。今年は青銅器に鋳込まれた古代文字、金文をフィーチャーし、謎に包まれた中国古代の文字の世界にせまります。 ギャラリー01 名品大集合 住友コレクションの中国青銅器のなかでも選りすぐりの名品を一堂に会した展示室。新しくなった展示ケースによって、名品の魅力を余すことなくお見せします。また中国青銅器の基礎的な知識に関する解説を付し、その世界へと旅するためのイントロダクションをご提供いたします。 ギャラリー02 青銅器の種類と用途 さまざまある青銅器の種類とその用途をテーマとした展示室。不思議な形をしている中国青銅器に定められた、食器・酒器・水器・楽器という4種類の用途を中心に、デジタルコンテンツを応用した動画も活用しつつ、当時の使い方が伝わるような工夫を加えています。 ギャラリー03 文様・モチーフの謎 動物をかたどったかわいらしい造形から、器の表面を埋め尽くす複雑怪奇な文様なども、中国青銅器を語るうえでは外すことのできない見どころです。ここでは中国青銅器に登場する文様やモチーフを取り上げ、その謎と魅力にせまっていきます。 ギャラリー04 東アジアへの広がり 中国で誕生した青銅器文化は、その後、東アジア世界へとその影響を広げていき、各地で独特の青銅器もつくられるようになりました。ここでは東アジアに広く受容された鏡を中心として、日本を含む周辺地域の青銅器も取り上げつつ、青銅文化の展開を見ていきます。

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