特別展 住友財団文化財維持・修復事業助成の成果展示
文化財よ、永遠に2026 -次代につなぐ技とひと
2026.04.04土2026.06.28日
先人たちの文化や思想を伝える考古遺物や歴史資料、美術工芸品、それらを今日私たちが目の当たりにできるのは、これまでに多くの人々の手によって守り継がれてきたからにほかなりません。それはすなわち、目の前の文化財が次の百年へと息をつなぐことができるかどうかは今の私たちに懸かっていると言い換えることができるのでしょう。
住友財団は、1991年創立以来、人類共通の宝である文化財を後世に伝えることを現代人の責務と考え、文化財維持修復事業の助成に務めてきました。民間という立場から、我が国だけでなく海外の文化財にまで助成対象を広げて、35年間活動を重ねてきました。
本展は、住友財団の助成事業によって修理がなされ、よみがえった文化財を展示することで、文化財の保存修理を取り巻く環境と技術、そして人に光をあてようとするものです。社会の高齢化と地方の過疎、それに伴う文化財に携わる担い手の不足、逼迫する財政そして災害の激甚化と、文化財はいよいよ厳しい境遇に置かれています。何人もの人間が一つの作品のために連携して、厳選した材料を惜しみなく投入し、伝統と最新を兼ね備えた技術で最善を模索し続ける文化財修理というものが、はたして大量消費を前提としてコストパフォーマンスを重視する現代社会でどのように生き残っていけるのか。山積する課題を前に困惑して停止してしまわないためにも、文化財修理の意義と技術、さらにそこに注ぎ込まれた人々の努力を、改めてお伝えできれば幸いです。