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高麗仏画―香り立つ装飾美
開催期間
2016.11.032016.12.04
開催場所
泉屋博古館(京都・鹿ヶ谷)

◇類いまれな仏教絵画の世界
高麗王朝後期(13―14世紀)に生み出された類いまれな仏教絵画、それは王朝貴族の高い美意識と篤い信仰心の結晶でもありました。阿弥陀如来、観音菩薩をはじめとするみほとけは、柔和な表情、繊細な衣の文様、温雅な色彩など気品と善美に満ちています。見る者の目を奪う華麗な装飾〔荘厳〕は仏の徳を表すものでした。元の支配に苦しみつつも、多様な大陸文化を飲み込み深みある世界を醸した高麗人の心の豊かさがおおらかなみ姿から感じられるようです。
東アジア絵画史のなかでも独特の光彩を放ち、近年高く評価される高麗仏画ですが、現在その数は世界にわずか160点あまり。本展ではながらく国内でまとめてみる機会のなかったその名品が一堂に集います。修復後初公開となる重文《水月観音像(楊柳観音像)》(泉屋博古館蔵)を中心とした調査から細心緻密な技巧に肉迫、朝鮮半島に花開いたしられざる荘厳の美の秘密をも探ります。(一部展示替えがあります。)

◇よみがえる観音~《水月観音像》の修理後初公開
《水月観音像(楊柳観音像)》(重文泉屋博古館蔵)は、静謐なその姿の美しさのみならず、落款から1323年に宮廷画家の徐九方によって制作されたことが知られることから、研究上の貴重な資料とされています。泉屋博古館では、画面の折れや亀裂など劣化が進んでいた《水月観音像》の全面解体修理を2013年から2年間にわたり実施しました。文化庁の指導のもと、国宝修理所での細心の施術により完成した姿を初めて披露します。よみがえった観音の輝き、奥行ある明澄な空間を心ゆくまでお楽しみください。

◇超高精細!京大開発、4Kで楽しむ高麗仏画
《水月観音像》修理の際の調査では最新の科学分析ももちい、絵具や画絹などの素材、そして技法について新たな発見がありました。ことに修理の際にしか見られない裏面からの彩色について克明に記録したことが注目されています。京都大学工学研究科で開発された高精細画像撮影・鑑賞システムにより、4Kモニターで細部にいたる美麗な仏画の画像を、ご来館のみなさまに自由にご覧いただきます。

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