終了
富岡鉄斎-墨に戯れ、彩に遊ぶ-
開催期間
2009.10.242009.12.06
開催場所
泉屋博古館(京都・鹿ヶ谷)

幕末から明治、大正の京都を生きた文人、富岡鉄斎(1836-1924)。「万巻の書を読み万里の路を行く」ー読書と旅三昧といった文人画家の理想生活を実践した鉄斎は、80代を迎えてその芸術を開花させたといわれ、生涯で一万点以上の絵画を残しました。和漢の古典に通じた彼は、古画の研究にも熱心で、画題はじつに多岐にわたります。そして画上の詩句からは無尽蔵の教養に裏打ちされた深遠な洞察がうかがえます。しかしその一方で、豊潤な墨と色彩、力強く自由な筆致、生命力に満ちたその独創的な芸術表現は、文人画の枠にとどまらず、言葉の垣根を越え、時を経てなお世界の人々を魅了してやみません。

当館の鉄斎コレクションでは、文人の理想郷を描く《掃蕩俗塵図》など、晩年の充実ぶりをうかがわせる山水図のほか、《松尾芭蕉像》《利市三倍図巻》など60~70歳代の和漢の人物図がまとまってみられます。隠遁の高士、歴史上の偉人から、市井の乞食や無垢な子供まで、いずれもどこか親しみやすく、鉄斎の暖かなまなざしが感じられます。また、13握の扇子からなるシリーズ《貽笑大方》にみられるように、日々身近な人に贈った扇面は、珍しく花卉を描くなど題材もバラエティ豊かで、気負いなく軽やかな筆致で仕上げたこれらからは、画筆を楽しむ素顔の鉄斎の息づかいが聞こえるようです。

本展は当館の鉄斎コレクション約30点をまとめてご紹介する久しぶりの機会です。融通無碍の鉄斎芸術の世界をお楽しみください。

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