終了
住友コレクションの中国絵画
- 開催期間
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2009.03.14土2009.04.26日
- 開催場所
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泉屋博古館(京都・鹿ヶ谷)
泉屋博古館所蔵の中国絵画には大別してふたつの流れがあります。ひとつは宋代画院に始まる宮廷画家の系譜、いまひとつは明末清初の遺民画家に代表される明清の文人たちの系譜です。国宝《秋野牧牛図》は南宋の画院に仕えた閻次平の作と伝えられ、精緻な筆線と確実な構図により、写実的ななかにも詩情あふれる逸品です。このほか《宮女図》(伝銭選)・《鳩図》(辺文進)なども宮廷画家の手になるとされ、小品ながら伝統的技術に支えられた気品ある作品です。これらは室町から江戸時代ごろに日本に将来され、古くより日本人に愛好されてきました。
一方、八大山人・石濤などは明朝から清朝へ王権が交代する激動の時代に、旧王朝に義をたてて、隠逸の日々を過ごした文人です。彼らは伝統的な形式にこだわらず感興のおもむくままに自由で斬新な作品を生み出しました。《安晩帖》《廬山観瀑図》《黄山図巻》《黄山八勝画册》(以上、重文)をはじめ、《報恩寺図》(石渓)、《江山無尽図巻》(漸江)など、自らの内面に広がる風景を個性の強い筆使いで表現した作品は、今日もなお新鮮で、世界的名画と評価されています。
これらのうち前者はおおむね第十五代住友吉左衞門(1864-1926)が、後者はその子息住友寛一(1896-1956)が蒐集したものです。好対照をなすコレクター二代の「目」。今回の展観ではそういった趣味の違いをも楽しめることでしょう。