-
虎卣
重要美術品- 時代
- 殷時代後期(前11世紀)
- サイズ
- 高 35.7㎝
後肢で立つ虎が人を抱え、丸のみにするかのような不思議な造形を表す器。釣手と蓋のつく卣と呼ばれる種類で、酒を入れたとも、酒に香りづけをするための香草の煮汁を入れたとも言われる。驚異的な鋳造技術が発揮された中国青銅器を代表する逸品。
-
海棠目白図
- 作者
- 伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)
- 時代
- 江戸時代(18世紀)
- サイズ
- 縦 139.0㎝ × 横 78.9㎝
- 材質技法
- 絹本着色
四手辛夷と海棠が花盛りのなか、メジロが枝で身を寄せあい「目白押し」。伊藤若冲(1716~1800)は江戸中期に活躍、強烈・奇矯な画風で奇想の画家とも呼ばれる。ここでは、実物観察を重んじた彼らしくメジロ独特の生態に着目、小鳥への素直な共感が感じられる。40代前半の作と考えられる。
-
佐竹本三十六歌仙絵切
源信明
重要文化財- 作者
- 伝藤原信実(でんふじわらののぶざね)
- 時代
- 鎌倉時代(13世紀)
- サイズ
- 縦 35.7㎝ × 横 59.3㎝
- 材質技法
- 紙本着色
現存最古級の三十六歌仙絵で、典雅な趣と人間味ある豊かな表情で王朝和歌の世界に引き込む。源信明は、多くの女性と交わした和歌で知られる平安中期の歌人で、頬を赤らめうつむく様は、すれ違う恋に悩む生身の青年を思わせる。もと二巻の巻物であった。
-
秋野牧牛図
国宝- 作者
- 伝閻次平(でんえんじへい)
- 時代
- 南宋時代(13世紀)
- サイズ
- 縦 97.5㎝ × 横 50.6㎝
- 材質技法
- 絹本墨画着色
紅葉の木蔭で水牛と牧童がくつろぐ。閻次平は南宋初期に活躍した宮廷画家で、牛を得意としたという。堂々とした構図、湿潤な大気の表現、牛の毛描きの細密描写など、宮廷画にふさわしい風格と叙情性をそなえる。室町時代に足利将軍家に仕えた相阿弥の書付がともに伝来する。
-
安晩帖
重要文化財- 作者
- 八大山人(はちだいさんじん)
- 時代
- 清時代(康煕33年 / 1694年)
- サイズ
- 縦 31.7㎝ × 横 27.5㎝
- 材質技法
- 紙本墨画淡彩
八大山人(1626~1705)は明から清への王朝交代の混乱期に、筆に心を託し、独特の飄逸な画風で後世に影響を与えた。これは69歳の作で、鳥や魚、花卉、山水など20面からなる画冊。潤渇自在な墨調、意表をつく構図、諧謔的な表情など、晩年の安らかで自由な境地をうかがわせる。
-
黄山八勝図冊
重要文化財- 作者
- 石濤(せきとう)
- 時代
- 清時代(17世紀)
- サイズ
- 縦 20.1㎝ × 横 26.8㎝
- 材質技法
- 紙本墨画淡彩
石濤(1642~1707)は、清初期に輩出した個性派画家の代表で、その山水画は中国画の伝統を一変させたという。これは若いときに訪れた黄山を繊細な筆致と淡い色調で描いた代表作。彼は、雲海に奇岩怪松で知られるその景観を「師であり友」として生涯描き続けた。
-
堆黄龍図円盆
- 時代
- 明時代(万暦17年 / 1589年)
- サイズ
- 口径 21.3㎝ × 高 2.8cm
- 材質技法
- 漆・堆黄
まん中で睨みをきかせる龍は、左右両角に五本の爪を持ち、中国では皇帝のシンボルとされた。その上、周囲を雲気、波濤、仙岳で満たすのは正統的な組み合わせである。さらに黄色材を溶いた漆を何層にも塗り重ねる堆黄の技法で、モチーフを立体的に表現する技巧からも、正統な官営工房作であることをうかがわせる。
-
魁星像
- 時代
- 明時代(16世紀)
- サイズ
- 像高 29.5㎝
- 材質技法
- 銅造鍍金
筆と斗(ます)を持ち、衣を翻らせ疾走する躍動感溢れる鬼神の姿で表されたのは、北斗七星先頭の星、魁星。まさに字形通りの造形だ。名につく「魁」から、中国の官僚採用試験である科挙に首席合格を願う受験突破・学問の神、そして文房(書斎)全般の神様となり、文人たちの信仰を集めた。
-
舎利石函・鍍金舎利槨・舎利棺
- 時代
- 唐時代 乾元年間(758~760年)
- サイズ
-
石製舎利函 : 高 69.4cm × 長 61.4cm × 幅 45.4cm
銅製舎利槨 : 高 30.1cm × 長 43.7cm
銅製舎利棺 : 高 14.2cm × 長 21.9cm
釈迦の遺骨は「舎利」と呼ばれ、篤く崇敬を集めたことから、それを納める容器も厳かに飾り立てられた。本作は、中国の墓制に基づく金銅製の棺と槨、さらにそれらを格納する石函からなる入れ子状の舎利容器である。石函ののびやかな線刻や槨の細緻な金属造形など各所の装飾が見どころ。
-
水月観音像
重要文化財- 作者
- 徐九方(ソグバン)
- 時代
- 高麗時代(至治3年 / 高麗忠粛王10年 / 1323年)
- サイズ
- 縦 166.3㎝ × 横 101.3㎝
- 材質技法
- 絹本着色
高麗王朝の篤い信仰と美意識の結晶である高麗仏画。なかでも、観音浄土で瞑想する観音と、悟りの教えを乞う善財童子の逸話を描く「水月観音」は特に好まれた。宮廷画家の手になる本作品は、温雅な表情、華麗な衣など、繊細巧緻な高麗仏画の代表と見なされる。
-
阿弥陀如来坐像
重要文化財- 時代
- 平安時代(大治5年 / 1130年)
- サイズ
- 像高 103.0cm
- 材質技法
- 木造彩色
来迎印を結ぶ等身大の阿弥陀坐像。背板の墨書銘から、制作年が判明する貴重な作例で、平安後期の数少ない基準作例の一つ。浅めの彫りで平板に表した衣文などは同時代の造形感覚だが、やや彫りの深い古様な顔立ちは当時の都の作風とは一線を画し、院政期における仏像表現の多様化を物語る。
-
線刻仏諸尊鏡像
国宝- 時代
- 平安時代(12世紀)
- サイズ
- 径 15.1㎝
- 材質技法
- 銅造線刻
八稜形をなす白銀色の鏡面に仏諸尊を彫刻し、鏡背には二羽の鳳凰と瑞花の文様が配される。鏡面に彫り表された仏の図像が、それを照らし出す光のなかで輝く姿に当時の人々は信仰の対象を見出していたという。卓越した技術とともに高い精神性をもそなえた中世仏教美術の精華。