青銅器館
BRONZEWARE
3展示室

中国古代の説話と文様

中国古代では多くの青銅祭器、青銅鏡が製作されましたが、それらに盛んに施された文様はどのような思想や文化を背景としていたのでしょうか。その手がかりとして、中国古代には同時に数々の説話が遺されており、そこから当時の人々の思想の一端を窺うこともできます。ここでは青銅器・青銅鏡の文様とともに、その背景となった中国古代の説話もあわせてご紹介いたします。

  • 虎卣

    こゆう
    時代
    商後期
    通高
    35.7㎝
    重量
    5.09㎏

    後肢で立つ虎が人を抱え、丸のみにするかのような不思議な造形を表す器。虎が人を食べようとしているとも、虎の姿をした神が人を守護しているとも言われるが、何を意味しているのかは定かでない。『春秋左氏伝』には虎に育てられた赤ん坊の説話が載せられているが、中国古代の人々にとって、虎とは危険な猛獣であるとともに、恵みの仁獣としての顔ももつ、二面性のある神聖な動物として捉えられたのであろう。

  • 戈卣

    かゆう
    時代
    商後期
    通高
    27.2㎝
    重量
    3.13㎏

    背中合わせのミミズクをかたどった鴟鴞卣の一種で、蓋と器内底に「戈」の銘をもつことからこの名で呼ばれる。中国古代では鴟鴞は不吉の鳥とされ、その鳴き声が忌み嫌われたらしく、悪鳥として『詩経』などの文献に登場する。しかし、商代では鴟鴞形の器が墓から多く出土するのは、夜行性の猛禽類という性質から死者を守護する役目が期待されたためであろう。可愛らしい見た目の背後にある当時の思想に思いを馳せてみたい。

  • 画文帯同向式神獣鏡

    がもんたいどうこうしきしんじゅうきょう
    重要文化財
    時代
    後漢末~三国
    16.1㎝
    重量
    650g

    内区に表された神像、獣像がみな上を向く同向式の神獣鏡。鈕をはさんで左右には西王母と東王父が配され、上部には琴を弾く伯牙、さらにその左右に二人の神仙が立つが、鍾子期と成連を表したものか。伯牙は成連に連れられて蓬莱山で琴の奥義を会得し、鍾子期は伯牙の演奏のよき理解者であった。陰陽の調和をもたらすとされる音楽が、異なる金属を融解する鏡の鋳造と相性の良いテーマと考えられたのであろう。

  • 月兎八稜鏡

    げっとはちりょうきょう
    時代
    中唐
    14.9㎝
    重量
    659g

    八枚の花弁が開いたような形状の鏡体の内外を界圏で区切り、内区には大きな樹木とその左右に仙薬を搗くウサギと仙女の姿、そしてウサギの足元には蟾蜍(ヒキガエル)が表される。中国古代では蟾蜍は月の象徴とされ、また后羿の妻であった嫦娥が西王母のもつ不老不死の仙薬を盗み、月に逃げたあげく蟾蜍に姿を変えられてしまったという説話が流行した。光り輝く鏡に月の世界を見ようという趣向なのだろう。