終了
近代日本画の美の世界 ―至純の住友コレクション―
開催期間
2005.09.232005.11.06
開催場所
泉屋博古館分館

泉屋博古館分館の近代日本画のコレクションには、いくつかの特色が挙げられますが、そのひとつに住友家が蒐集したことからもたらされたものがあります。すなわち、住友家の基盤は、関西地区に重点があった関係で、京都、大阪の画家のウエイトが自然に重くなり、コレクションの核を形成してゆきました。円山派の森寛齋、望月派の望月玉泉、四條派の深田直城など京都、大阪の代表的な流派の画家の作品を収蔵しています。

また、姫島竹外、村田香谷、山田秋坪などの文人画家にも比重が掛かっていることが挙げられます。個人コレクションの根柢には、蒐集家の美意識、美学が深く関わっている場合が多くありますが、文人画系の蒐集は、コレクションの形成者、住友吉左衞門友純(雅号・春翠)が煎茶を嗜んでいたことが影響していると考えられます。
さらに、大阪の美人画家、上島鳳山の月毎の美人画十二幅が所蔵されている点も特色のひとつで、あまり知られていない大阪画壇の美人画の一端が伺えます。
それとともに京都画壇の大御所、富岡鉄齋、竹内栖鳳、木島桜谷などの作品が収蔵されております。なかでも、鉄齋は、最晩年作を含めた幅の広いものといえましょう。また、桜谷は、金地の6曲1双屏風による春夏秋冬を描いた5双の作品で、桜谷の地味な画風の中では、ひときわ華麗な作といえます。

東京画壇へ目を向けますと、草創期の画家である菊池容齋、滝和亭、近代日本画の最初の革新者、狩野芳崖、橋本雅邦、明治画壇の第2世代の下村観山、そして現代の国民的画家と謳われた東山魁夷までと、幅広い作家、作品が収蔵されております。
本展は、いま述べました東西に亙る関西画壇、東京画壇の画家達の作品を展観いたしますが、ひとつの展覧会として纏めた形で近代日本画を公開するのは、今回が初めてであります。皆様の御清鑑をお願い申し上げます。
なお本展覧会において皆様からのご要望の多い、板谷波山「葆光彩磁珍果文花瓶」(重要文化財)を特別展示致します。

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